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2012/09/27

アフター・マス / ローリングストーンズ

聴いた場所〔電車(通勤)〕

1966年4月リリース。カバー曲なし、全曲「ミック&キース」作というストーンズ初の完全オリジナルアルバムとなります。
私が所有しているのは「Paint It Black ~黒くぬれ」が入ってない全14曲・英国盤です。
“初期の集大成”、”最初の傑作”、“ターニングポイント”、てな具合にかなり評価の高いこの作品。
「#1 Mother's Little Helper」のスタートダッシュから、「#2 Stupid Girl」「#3 Lady Jane」「#4 Under My Thumb」と硬軟織り交ぜて一気に畳み込む序盤戦はたしかに圧巻です。
そんな中でもやはり「#4 Under My Thumb ~アンダー・マイ・サム」がこのアルバムのエース格となるのでしょう。
この3年後にオルタモント事件の”呪いのグルーヴ”となってしまう曲ですが、原曲は木琴の音色がポクポクのマッタリ系ロック。
81年USツアーでは元気でギンギンなオープニングナンバーに化けるなど、いくつもの色を持つ不思議な名曲です。
なお木琴は、こちらも名曲「#9 Out of Time」においても効果絶大。
演奏者はもちろん天才奇才のブライアンジョーンズ。
後に本格的にグレてしまうリーダーは、このアルバムではこの木琴の他、シタール、ダルシマーなど魅惑のアイテムをフル稼働。最強の「楽器のお兄さん」としてミック&キースのフレッシュ幼なじみタッグをバックアップします。
そして私が最も気になった曲は「#6  Goin' Home」。
当時23歳の若武者・ミックジャガーが『家に帰るよ、帰るんだよ』とグズグズダラダラ、何と10分以上もボヤき続ける超大作です。
唄う大河ドラマ・ミッドナイトランブラーの試作品なのか?、ライブでやったらビルワイマンあたりは居眠りしちゃったかも知れません。
時は昭和41年、ギミック上のライバル・ビートルズは「リボルバー」をリリース。芸風でも音楽性でも、誰もついて行けない第2ステージにステップアップしてしまいました。
そんな年にストーンズは、ようやく初めての純正オリジナルアルバムを制作。
やりたかった音楽、というよりも「今やれる音楽」を5人みんなで頑張った、手作り感溢れる名アルバムだと思います。

タイトル「After Math」は直訳で『余波』。実際、邦題にはこの単語が用いられたそうです。
しかしストーンズにとっては余波ではなく、この後40年以上ブチ撒け続けるクロスファイヤーハリケーン『第一波』だったのではないでしょうか。