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2012/11/12

座頭市物語 #20「女親分と狼たち」

録画した日〔2012/9/4:時代劇専門チャンネル〕

上方喜劇の女帝・ミヤコ蝶々が登場。
息子同然に可愛がっていた佐藤慶に牙を剥かれる、落日の女親分を演じます。
気丈な女親分・ミヤコ蝶々のもう一つの苦悩は、カタギの道に進んで欲しかったのに渡世人遺伝子を継承してしまった実の息子・山本圭。
大親分の命日に「姐さん」を表敬訪問した座頭市は、一家を取り巻く複雑事情に胸を痛めつつ、ちょっと距離を置いて渡世人特有の自浄作用を見守るポジショニングを取ります。
母親代わりに渡世人の心意気を教えた佐藤慶は「鬼子」として、実の母親としてカタギへのレールを敷いた山本圭は「任侠者」として、ミヤコ蝶々の思いとは真逆の人生を突き進みます。
ラストでは哀しく不毛な斬り合いに雪崩れ込む2人。
自ら掘った墓穴なのか運命の機微なのか、偉大なる母・ミヤコ蝶々は2人の「息子」を失ってしまいました。
要所要所でブッタ斬りを披露したものの、座頭市は今回かなりの引きモード。
大御所・ミヤコ蝶々という太陽を中心に据えて、それに引き寄せられやがて離れて行く佐藤&山本の「2人のK(ちなみに座頭市は1人で警視-K)」がグイグイとストーリーを牽引します。
重厚ゲスト陣が織り成す切なくも真っ直ぐな人間ドラマ。座頭市抜きでも成立しちゃったんじゃないか?と思わせる程、彼らにスポットが集まる展開でした。
「バイプレーヤー」という言葉とは無縁の座頭市。しかし今回の立ち位置は、このTVシリーズを全件掌握してるからこそできる、ちょっとした遊び・実験だったのかも知れません。