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2012/12/23

プロレスクラシック(40)全日本プロレス旗揚げ10周年シリーズ

録画した日〔2012/8/6:日テレG+〕

ライバル新日との「蔵前戦争」として有名な、昭和56年10月9日「創立10周年記念興行」を中心とした5試合を放送。
同興行に参戦したマスカラス、レイス、スヌーカ等ビッグネームの試合がカットされるほどの濃厚ラインナップです。
若大将・ジャンボ鶴田相手の防衛戦に臨む第62代NWA王者・リックフレアー。
アメリカンドリーム・ダスティローデスを破ってNWA初戴冠したのがこの蔵前決戦のわずか22日前。「レイスモデル」のベルト姿がちょっとギコチない、まだまだ初心者マークの狂乱の貴公子です。
とはいえ、ネイチャーボーイの経典「命乞い」は昭和56年時点で既に完成の域に達していました。
とりわけ同世代ジャンボの「イクぞ、オォー!」との相性は抜群。昭和のプロレスファンを20年以上欺き続けた罪深きノラリクラリムーブです。
60分3本勝負の王座戦は2-1でフレアーが王座防衛。
  • 1本目鶴田_トップロープからのウルトラC・フライングドロップキックから体固め
  • 2本目フレアー_必殺4の字固めで鶴田ギブアップ
  • 3本目フレアー_鶴田がドロップキック自爆で急所痛打→体固め
レフェリー失神等の不穏ムーブもあったのですが、これでNWA戦12戦全敗の善戦マン・ジャンボ。
「Give Me One More Time」とアマリロ仕込みのイングリッシュで再戦を猛アピールするものの、解説席の東スポ山田さんに「よく聞き取れないんですけどねぇ」と無慈悲にブッタ斬られてしまいます。

選手兼コーディネーターとして全日10年の最大の功労者であるザ・ファンクス。
蔵前決戦3日前の10月6日、宮城県スポーツセンターで上田馬之助&バックロブレイ戦に臨みます。
大ボラアナウンサー・倉持さんの言うところ「実力も人格も申し分のない」「世界のアイドル」ザ・ファンクスにとってはイージーモードの勧善懲悪マッチのはずだったのですが…。
ドリーファンクジュニアが難なくバックロブレイを仕留めた直後に大事件が勃発。
蔵前決戦でドリーのインター王座に挑戦する超獣ブロディが乱入し、事もあろうか社会見学中のドリー長男・ディンク君に殺人技・キングコングニードロップをブッ放します。
大ボラアナウンサー・倉持さんの言うところ「プロレスを知らない」「テキサスA&M大学で考古学を勉強している」ズブの素人ディンク君は失神KO。冷静沈着なドリーもこれには大激昂、3日後の蔵前決戦は早くも大荒れの様相を呈してきました。
こうして迎えた蔵前インターナショナル戦は大方の予想どおり大荒れの展開に。
そしてこれまた全世界全宇宙の予想どおり、NWA公認レフェリー・ジョー樋口が失神KO。試合前から「Kill Him!」と激昂していたドリーが反則負けでタイトルを喪失してしまいました。
大混乱のリングには荒馬・テリーファンクも乱入。
オシャレ極まりない「TEXAS」シャツにGパン&ウェスタンブーツのThis Is プロレスラーファッションで超獣ブロディに襲いかかります。
現代WWEを彷彿とさせる「家族潰しアングル」を導入した王道プロレス。当時小学3年生の私としては、細面のナイスガイ・ディンク君はどうなった?が気になって仕方ありませんでした。

記念興行のメインには馬場& ブルーノ・サンマルチノの20年来夢の友情タッグが勇躍登場。この試合は、人間発電所の事実上の引退試合として世界プロレス史的にも重要な試合となります。
対戦相手は、超極悪タッグ・シン&上田。例によって伝統の不透明両リン決着でした。
しかし、この2人がリングにいるだけで万事OK。プロレスはバチバチぶつかり合うだけじゃぁない事を実践するレジェンドの競演です。

放送5試合目は、10周年興行とは全く関係ないアラビアの怪人・シークとタイガー・ジェット・シンの大混乱場外戦(昭和56年12月13日・蔵前)。
これ入れるんなら蔵前4大決戦のマスカラスvsマイティ井上やれよと言いたいところですが、これはこれで貴重映像。
大相撲ファンにとっては、蔵前国技館のドレッシングルームならぬ「支度部屋」をチェックできる歴史考証的意味合いもあるのではないでしょうか。

外人レスラーリストを見るだけでお腹いっぱいになる、ハンセン強奪直前の昭和56年全日本プロレス総力戦。しかしこれでも、当時の勢力図としては佐山タイガー出現直後の新日が押せ押せだったようです。
私もブロディとファンクス以外はあんまり興味がなかったような…。
しかし21世紀の今振り返れば圧倒的な超豪華絵巻。全編が歴史的名シーン、世界のプロレスマニアが平伏すであろう物量&品質に胸を張りたい充実の昭和プロレス遺産です。