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2013/02/23

警視-K #9「オワリの日」

録画した日〔2013/2/9:日本映画専門チャンネル〕

今宿署管内でヤクザの親分が刺殺される事件が発生。
ガッツは独自の嗅覚を駆使して、事件前にうどん屋で被害者と揉めてた男を容疑者としてピックアップしました。
大したミステリーも無さそうな、いわゆる普通の殺し案件。
ホシは絞れたんで後はしょっ引くだけなんですが、ガッツ懇意の情報屋・川谷拓三が微妙に容疑者とリンクしていることが判明します。
実際に容疑者とリンクしているのは、川谷拓三ではなく飲み屋の姉御・松尾嘉代。容疑者の元妻というポジションです。
神田川沿いの馬場3丁目にお店を新装した松尾嘉代は、ダラしないけど根はイイ奴・川谷拓三と新しい生活を築こうと決めたばかりでした。
別れる際に元夫から手切れ金を貰っていた松尾嘉代は、逃亡用の資金やら車やらをセビラれる事に。
「貸しても借りるな」という男前の信条から、断りきれずこれに応じてしまいます。
まさしく「だめんず・うぉ~か~」を地で行く松尾嘉代。夜の世界ならではのキップのイイ姉御キャラです。
一方、その姉御と所帯を持つ自覚に目覚めたはずの川谷拓三は、やっぱり後先考えず元夫=容疑者の路上襲撃を企てていました。
しかしこの新宿襲撃事件はガッツが未然に阻止。昭和の茶の間からの「お前が言うな」攻撃を恐れず、幸せな家庭を築く意義をダメ男・川谷拓三に言い聞かせます。
結局事件は、逃亡用の車ごと連れ去られそうになった松尾嘉代をガッツ軍団が直前で救出。容疑者も逮捕してひとまず一件落着となりました。
しかし川谷拓三的には、仕方ないとはいえ元夫に靡いた松尾嘉代に対し一抹のわだかまりが残る結末です。
まあこれもガッツの裁きで和解、美女と野獣のロマンスがめでたく成就するもんだと思ったのですが…。

モヤモヤが残る川谷拓三がフラフラと路地を歩いていると、その横から猛スピードの車が突進。
なんと愛すべきレギュラー情報屋・川谷拓三は不慮の事故で「殉職」してしまいました。
もはや予定調和もクソもない超展開。
しかも川谷拓三はグロレベルの血みどろ状態という、昭和の茶の間を視聴率ともどもドン引きさせる冷酷無比のバッドエンド。
これこそ「トゥーマッチ」を頑なに拒絶するガッツ演出の真骨頂といった所なのでしょうか。
バッドエンドはともかく、川谷拓三&松尾嘉代が繰り広げる場末の恋物語は、BGM「雨の慕情」とシンクロして見応え充分。演技なのか素なのかが分からない程のリアリティでした。
そんな両者を立てるようにガッツは終始引き気味のポジショニング。
視聴率1桁大行進のトンデモドラマとは思えない、情念と緊張感に満ちた良作だったと思います。

どんな力作だろうが名演技だろうが、ナチュラル大根娘・奥村真粧美が全部ブッ壊してゼロ(或いはマイナス)に持っていくのがこのドラマの魅力の一つ。
しかし今回は薄暗い夕焼けの駐車場で「パパ、パパ」と一言のみの登場でした。
残念ながら恒例の父娘2ショット食事シーンもカット。
トレーラーハウスの屋根に1人佇むガッツの背中からは、盟友・川谷拓三への敬意と「成り行きで死なせちゃってゴメンな」という軽いお詫びが伝わってくるようでした。