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2013/04/29

新・座頭市Ⅰ #10「娘が泣く木枯らし街道」

録画した日〔2012/9/29:時代劇専門チャンネル〕

とある農村に宿をとった座頭市。
この村の農民は、夏の冷害によって厳しい生活を強いられていました。
冷害でコメや野菜が収穫できないということは、食べ物が無いというだけでなく年貢が納められないという経済的な困窮も意味します。
そうなると農耕以外に処世の術がない農民の選択肢は身売りだけ。
座頭市の隣部屋に宿をとっている父娘はまさにその口で、最後の親子水入らずの時間を過ごしていました。
村の事情やら泊り客の事情やら諸々のネタを座頭市に喋ったのはこの宿の女中さん・沢田雅美。
これっぽっちの愛嬌もない突っけんどんなキャラですが、「渡る世間…」の陰湿ヒール役とは異なりホントは正義感のあるいい人という設定でした。
座頭市の隣部屋の父娘は、やはりというか何というかヒール軍の罠にハマって完全崩壊。お父さんは一文無しになって自ら命を絶ってしまいました。
小さな縁を大切にする座頭市は、可哀想な娘さんの生活支援と憎っくきヒール軍の成敗を一手に引き受けます。
薄幸、薄幸、また薄幸。出てくる人々(=農民)がとにかく皆んな辛い境遇に置かれている救いの無いストーリー。
座頭市のフル回転により娘さんは母親と再出発、ヒール軍はブッタ斬りで根こそぎ崩壊と、体裁だけ見ればハッピーエンドだったものの、全体を覆っていたのは暗くジメッとしたムードでした。
たまに飛び出す鬱展開。これも清濁、硬軟、明暗色々合わせ持つ座頭市のエッセンスの1つなのでしょう。