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2013/05/23

ワールドプロレスリングクラシックス#251「前田日明特集」

録画した日〔2013/2/9:テレ朝チャンネル〕

黒髪のロベスピエール・前田日明のタッグマッチ2試合。
いずれも昭和61年(前田=27歳)、第一次UWFが新日に出戻りしていた時期のものです。
超過激アナ・古舘伊知郎が「しょっつる」を連呼するお楽しみ出張モードの7月秋田大会。
前田は頼れるアニキ藤原喜明とのコンビで、殺人医師・スティーブウイリアムス&黒い猛牛・バッドニュースアレンの強力外国人チームと対戦しました。
ウイリアムスもアレンもキレたら底なしに恐ろしいナチュラルファイター。特にこれが初来日のウイリアムスは野心ギラギラのガムシャラ不規則ムーブを連発します。
若きリーダー前田としては、あくまでプロレスの範疇で穏便にコトを済ませUWF軍みんなで秋田しょっつる鍋を食べに行きたいところでしょう。
試合はアニキ藤原が積極的にヤラレ役を買って出る展開。
するとアレンが慣れた手つきでトップローブの留め具をクルクル回し、セルリアンブルーの四角いジャングルを解体してしまいました。
数々のガチエピソードから「最強説」も囁かれるバッドニュースアレン。柔道の五輪銅メダリストでもある凄玉は、きっとリング屋としても大成していたことでしょう。
試合後に場外でパイプ椅子チャンバラを繰り広げる格闘王。この他、ロープに振られたらちゃんと戻ってくるしツープラトン攻撃もきっちり受けていました。
電撃出戻りからは半年以上経過。UWF諸悪の根源・猪木とのピリピリ抗争も一段落して、ややまったりムードになってたのかもしれません。

12月の愛知県体育館では「ジャパンカップ争奪タッグリーグ」公式戦として、青春のエスペランサ・高田延彦との同門対決が実現しました。
前田vs高田のスタイリッシュな打ち合いはビジュアル的にも十二分にメジャー級。
それぞれのパートナー(前田=いぶし銀・木戸修、高田=ケツ越中)の泥臭さも相まって、激しくも華のある2人の世界が展開されます。
試合はジュニアヘビーの高田&ケツ組が大健闘しましたが、木戸修の小技爆発で前田組がキッチリと勝利。思う存分プロレスをやり切った4人は決着後のリングで爽やかなノーサイドです。
前田のこんな日々は、紆余曲折を経ながらもあと1年、翌年11月の「顔面蹴撃事件」まで続く事となります。
昭和61年の前田は大名言「アントニオ猪木なら何をやってもいいのか」に始まり、アンドレとの放送禁止セメントマッチ(4月・津市)、ドラゴン藤波との両者KO決着(6月・大阪城)、ニールセン撃破で格闘王襲名(10月・両国)などプロレス史に残る不滅の金字塔を幾つも打ち立てました。
私は顛末をよく覚えていないのですが、あのブルーザーブロディとの一騎討ちも11月の札幌で実現するはずだったそうです(超獣がお得意のドタキャン…)。
屈強な外人レスラーと比べても全く見劣りしない体躯に鋭くクールな面構え。
血が騒ぐ入場曲や派手な必殺技、数え切れないガチ&トンパチエピソード等々、よくよく考えると前田日明こそ完璧な「プロレスラー」だったのではないでしょうか。
90年代も新日に残ってたら…、馬場さんの引き抜きに応じてたら…。
あらゆる偉業を成し遂げた殿堂クラスの超大物なのに「たられば」の妄想&幻想が無限に広がる、やっぱり唯一無二の「プロレスラー」です。