Translate

2013/09/16

ザ・ローリング・ストーンズ サム・ガールズ・ライブ・イン・テキサス 1978(Some Girls: Live in Texas 78)

録画した日〔2012/7/12:WOWOWライブ〕

昭和53年7月にフォートワース「ウィルロジャース記念センター」で開催されたアリーナ公演。
当時キャリア16年目、前月リリースの名盤「女たち」を引っさげた三十路半ばストーンズの濃厚ライブです。
このテキサス大会1週間後に35歳の誕生日を迎える御大・ミックジャガー。
お気に入りの真っ赤なピンポンパン帽子をかぶって「#1 Let It Rock」から飛んだり跳ねたり猛ハッスルムーブを炸裂させます。
ちなみに肩パットジャケの下に着込んでるのは、カギ十字に「デストロイ」とプリントされた中二病まる出しTシャツ。
ミックによると、これはジャンク屋で購入した計算ずくのユルいコーディネイトだった模樣です。
序盤戦「#3 Honky Tonk Women」では、悪友ミック&キース伝統のマイク1本芸が早くも披露されました。
会場はキャパ3000人程でストーンズにとってはテント小屋レベル。
お客さんが足元すぐ側にいる仕掛けゼロのステージでは、小細工なしのワイルドな直球勝負が効果的なのでしょう。
「#5 When The Whip Comes Down」から全米No1ソング「#7 Miss You」を経て「#11 Far Away Eyes」までの7曲は最新アルバム「女たち」からのナンバー。ミックも献身的にギターを演奏します。
過去未来のライブを見ても、新曲を7曲ぶち抜きでセットリストに載せるのは異例の事。
パンクロック勢に押されていたという昭和53年当時のストーンズにとっては「まだまだ終わらんよ」という熱い決意表明だったのかもしれません。
そんな変化に追われるストーンズの癒し系ポジションを担ったのが、永遠の下っ端・ロニーウッド。
キースと仲良くハモったり、ミックにケツを引っ叩かれたりタバコを捨てられたり、実にイキイキとステージ上を躍動します。
このツアーはボビーキーズやビリープレストンといったキャラの濃いサポート連中が不在。
入団3年目の陽気なギターマンにとって、イアンスチュワートを含めたオリジナル軍団と寝食をともにできる有意義な時間となったのではないでしょうか。
終盤突入の「#14 Happy」では、キースのボーカルをミックが強奪するお約束ムーブが勃発。
最近(と言ってもここ20年来)のキースコーナーは、お客さんのみならずフロントマン・ミックにとっても休憩タイムとなる傾向がありますが、特にこの「Happy」はキースのデタラメさとミックの出しゃばりが融合して成り立つコンビ芸なのだと思っています。
「#16 Brown Sugar」からなだれ込んだラスト「#17 Jumpin' Jack Flash」では、バケツの水を客席にブッ放す荒くれパフォーマンスで締めくくり。
ミック(当然半裸)による聖水攻撃に、ステージサイドかぶり付き席のテキサスっ子たちは狂喜乱舞です。
あっという間の90分全17曲。
サポートメンバーは盟友・イアンスチュワートら3人のみ。経費削減だったのか、彼らの拘りだったのかどうかはともかく、演奏、演出を極限までシンプルに削ぎ落としたガチンコ度数の高いステージでした。
酒池肉林ファンキーな'75-'76と産業ロック全開の'81-'82の間に位置する「'78」ツアー。
ブートでも決定版と呼べるもの(映像)が見つからず、私にとっては謎に満ち満ちた空白期間でした。
いきなり公式盤がリリースされたのはライブから33年後の2011年。「だったら早く出せよ」「まだあんだろ」とファンのヒートと妄想を煽る老獪なストーンズ商法です。

絶頂期とも円熟期ともちょっと違う1978年のストーンズ。
お約束の「Satisfaction」も「Midnight Rambler」もない、ラフでワイルドなレア映像をオフィシャルで見られるとはホントにいい時代になったもんです。
残るは1975年の”LAフォーラム”でしょうか。
特典映像、おまけグッズ等々どんな集金方法を使っても構わないんで、関係者におかれましてはさっさと放出していただければと思います。