Translate

2013/12/22

ヒーロー達の名勝負「オグリキャップ復活のラストラン」

録画した日〔2013/11/2:NHK総合〕

第35回有馬記念(平成2年)におけるオグリキャップ復活の真実を探るドキュメント。
鞍上だった武豊を始め、瀬戸口調教師から獣医さんまで様々な関係者の証言で構成されます。
あれから23年、もはや一滴の雫も残らない程に語り尽くされた奇跡のラストラン。
今さら驚愕の初公開秘話などある訳もなし、でもやっぱり西陽掛かった冬枯れのターフ、ギューギュー詰めの中山スタンド等々とセットで年に一度は振り返りたいオッサン殺しコンテンツです。
獣医さん曰く、オグリの心拍数はサラブレットの常識を超えた驚異的なものだっととの事。
そしてこの数値は、惨敗を喫した天皇賞やジャパンカップでは一般的な値に落ちてしまっていたようです。
これは新しい発掘ネタなのか?
たとえプロレススーパースター列伝的な大ボラだとしても、オグリならあり得ると思わせるのが超アイドルホースたる所以です。
レースの分析では、極端なスローペースにきっちり折り合った人馬のファインプレーをクローズアップ。
しかしこれはそもそも、逃げ馬ミスターシクレノン・松永幹夫現調教師が出遅れた事によるもの。オグリ原理主義者として未来永劫賞賛したいミッキーの超ファインプレーでした。
いろんな分析やら証言よりも嬉しかったのはラストラン実況のNHK版が聞けた事。
「さぁ頑張るぞ」のラジオたんぱ版と「”右手”をあげた」のフジテレビ版は何度も聞いたのですが、「ラストランはウイニングゴール!!」のNHK版は23年目にして初めて聞きました。
オグリを勝利に導いたモミアゲのない武豊21歳。
「天才」とカテゴライズされていた事により、当時は逆に凄さを感じなかった気がします。
しかし、今のJRAの21歳ジョッキーに同じ事ができるか、そもそも同じシチュエーションに身を置く事ができるかを考えると、この男の大正義っぷりが際立つというものでしょう。
絶頂期の主戦・南井ジョッキーもコメンテーターとして登場。G1連闘のくだりは「そもそもお前が秋天で…」と言いたくなるもどかしさです。
ちなみにこの他では河内ジョッキーが参戦。オグリの笠松時代の戦友・安藤”アンカツ”勝己ジョッキーは不参加でした。
大復活に至る乱高下プロセスはもちろん、中山競馬場の17万人大観衆、特別番組やら何やらメディアの破格の扱い等々「もう一回やれ」というのが絶対に無理な壮大ドラマ。
オグリキャップというヒーローの存在は、その再来を待つのではなく現実離れしたお伽話として熱く語り継いでいくべきものなのかもしれません。