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2014/01/19

西部警察 PARTⅢ スペシャル 燃える勇者たち (HDリマスター版)

録画した日〔2014/1/1:ファミリー劇場〕

昭和59年元旦に放送された「西部警察PARTⅢ」スペシャル版。
警視庁の超法規的ユニット・大門軍団が、金塊100億を強奪した国際窃盗団の黒幕を暴きます。
今回の捜査は内閣室長・丹波哲郎の極秘勅命。
国家のお墨付きをもらった大門軍団は、パクられた下っ端を拘置所から脱獄させてゲロさせるというムチャクチャな手法で「ジミー東郷」という黒幕をピックアップしました。
ジミーは3ヵ月前から「矢野大サーカス」にゲスト参戦している凄腕マジシャン。
まったく意味不明の隈取りフェイスペイントは、前年(昭和58年)凱旋帰国して大旋風を巻き起こした東洋の神秘・グレートカブキへのオマージュなのでしょうか。
マヌケなフェイスペイントながらも大物感がプンプン漂うジミーを演じるのは、大ボス・裕次郎と昵懇の仲である我らが勝新太郎。
大ボスマターでやりたい放題の勝新は、お得意の長唄三味線をBGMにネジ込んだり、裕次郎を闇カジノで打ち負かしたりとワールド全開の七変化で正月の茶の間を席巻しました。
ジミー勝新をショッ引くため、大門軍団は矢野大サーカスへの潜入捜査を敢行。
しかし軍団随一のモテモテ男・舘ひろしは、女性パフォーマー達には可愛がられたもののジミー勝新には取り入る事ができずじまい。
ミステリアスなムーブに振り回され、どうしても黒幕の尻尾がつかめません。
そんな大門軍団の奮闘を、大ボス・裕次郎は例によって超高所から高みの見物。
番組タニマチ・チェスコム社の最先端転送電話システムをオネエちゃんのいるお店に持ち込んで、現場からの報告をニヤニヤと待ちます。
なおこの転送電話の他、窃盗団がマクドナルドで待ち合わせしたり、オートバックスや長島スパーランドで人質事件を起こしたりと、不自然かつ豪快なステマが連発するのもこのドラマの魅力。
ドラマの骨子よりもタニマチへの義理立てに重きを置く石原プロ。
古き良き昭和の芸能スピリットが伝わってきます。
大門軍団がジミー勝新を如何にして陥落させるかが焦点となったストーリーは終盤に急展開。
なんと本物の黒幕として、インチキ臭さ満点の財津一郎が登場します。
となると我らがジミー勝新の立ち位置は…。
孤高のスーパースターに石原プロは超VIPギミックを用意していました。
ジミー勝新の正体は「CIA極東担当スペシャルエージェント」という何だか凄まじいキャリアの捜査官。
凄腕マジシャンを装い国際窃盗団(サーカス団のトレーラーで金塊移送を画策)に潜入捜査をしていたという事になります。
貫禄のベビーターンを果たしたジミー勝新は、裕次郎&大門軍団と緊急タッグを結成し財津一郎を捕獲。
「人生はサーカス。流れ歩いて夢を売るさ…」とニクい台詞をブチ上げ、成田から何処かへ旅立って行きました。
パンツの中に何も入っていないことを祈るばかりです。

私としては勝新がお目当てだった30年越しの再放送。ヒールとベビーの変幻自在メタモルフォーゼ、準主役級の大暴れに大満足です。
そして、これがおそらく最後であっただろう「きょうらい」石原裕次郎との2ショットは感慨深いものがありました。
もちろん円熟期(終焉期)をむかえた大門軍団のパフォーマンスも圧巻の一語。
やや残念なのは、ドラマのウリである大爆破シーンがなかった事でしょうか。
国際窃盗団とのラスト決闘シーンも「サーカスの動物がショックを受けるから」という取って付けた理由で打撃系の攻防に終始していました。
とは言え、番組タニマチの日産車で海に突っ込むなど茶の間が喜ぶエッセンスは堅実に踏襲。
単純明快なストーリーも含めエンターテイメントの王道を行く2時間特番です。
超過激軍団・石原プロじゃなきゃ絶対に作れない、超エクストリームなアクション活劇はこの年の10月で終了。
大ボス・裕次郎もこの年大病を患って第一線から完全に退いてしまいます。
リアルタイムではあまり見ていませんでしたが、貴重な昭和の遺産として通常版の再放送をチェックしてみようと思います。