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2015/02/16

座頭市兇状旅

録画した日〔2012/5/28:日本映画専門チャンネル〕

昭和38年夏に公開されたシリーズ4作目。
ネギで有名な群馬県下仁田が舞台です。
オープニングで神社の相撲大会に飛び入り参戦した座頭市。
アスリートとして脂が乗りきった32歳、超S級の格闘センスを誇るこの凄玉からすれば雑魚メン相手の村相撲など120%確勝モードと言えるでしょう。
座頭市の取り口はしぶとい足腰をいかした栃赤城ばりのサーカス相撲。
そこに按摩などのしょっ切りムーブも織り交ぜ連戦連勝、稽古なしのぶっつけ参戦ながら見事優勝をかっさらいました。
関連書籍等によると座頭市は大の相撲好き。飲み会で盛り上がってそのまま相撲大会になったという事も多々あったそうです。
仕切りの所作も実に堂に入ったもの。趣味と実益を兼ねた面白パートでした。
勝利の美酒とばかりに川っぺりで優勝商品の御神酒をガブ飲みする座頭市は、ヒットマンに背後を狙われたものの難なく一蹴。
相撲+ブッタ斬りのダブルヘッダーを意欲的にこなします。
そしてブッタ斬り後、自分のクビに賞金10両が賭けられている事、およびヒットマンのお母さんが下仁田にいる事をヒアリングした座頭市。
よせばいいのに、お母さんへのお詫びのため下仁田のヒール軍事務所へ足を運ぶ事になりました。
そんな座頭市のお詫びを快く受け入れたお母さん・村瀬幸子。気風が良くて信頼厚い、ヒール軍事務所のベテラン職員です。
律儀な座頭市に対し村瀬幸子はお葬式への列席も許可。
しかしここでヒール軍と座頭市の揉み合いが勃発。村瀬幸子の計らいなどでなんとか事は収まったものの、周辺に早くもきな臭さが漂ってきました。
座頭市にカラんで来たのは下仁田界隈親分衆の1人・安部徹。
どこからどうみても強欲ヒール風情のこの男は、仲間内でありながら下仁田の地盤強奪をひそかに狙っています。
そんな安部徹のターゲットとなっているのが父の跡目を継いで下仁田を仕切る成田純一郎。ヒールとは程遠い誠実な穏健派、つまりヘタレの2代目です。
座頭市はこの2代目の味方になって、その後の揉め事にいろいろ首を突っ込むポジション取りとなりました。
下仁田の宿屋に着いた座頭市は、早々におにぎりドカ食いの定番ムーブを披露。
気立ての良い娘さん・高田美和ら従業員たちは、目の前の按摩さんが賞金クビ=兇状持ちという事実をまだ知りません。
座頭市の素性はいずれバレるとして、この宿屋にも何やらいわくがある模様。
高田美和によると昔ヒールだった主人(高田美和の養父)はヘタレ2代目に反目、一矢報いようと虎視眈々の様相。
そして高田美和自身はそのヘタレ2代目といい感じという構図です。
さらにこの宿屋には謎の用心棒・北城寿太郎が彼女と滞在中。
その風貌からヒールである事は確定。安部徹とつながりつつ、賞金欲しさに座頭市を狙っていくスタンスとなります。
そして用心棒の彼女・万里昌代は座頭市と前作以前でイイ仲だった模様。
こんな感じで人数は少ないのですが、登場する皆んなが皆んなリンクする複雑な人間模様が繰り広げられていきます。
ヘタレ2代目の襲名パーティに乱入した用心棒。晴れの席をブチ壊しにしてしまいました。
この騒ぎに追って乱入した座頭市。とっくり斬りの超絶プレーを炸裂させ、騒動の影の首謀者・安部徹を震え上がらせます。
安部徹は続いて、夜の神社境内でヘタレ2代目をテロ襲撃。
ここも座頭市がメッタ斬りで救出したのですが、暗がり故に、テロ首謀者は座頭市で2代目は子分を見捨てて逃げ出したという情報操作がされてしまいました。
こうして座頭市許すまじムードが醸成された中での親分会ミーティング。
安部徹らは、自ら首を取りに行くのが仁義だろとムチャ振り。ヘタレ2代目は謀略と知りつつ、渡世人のルールに則りこれを受諾してしまいます。
このムチャ振りを機に事態は急展開。
後へ引けないヘタレ2代目が座頭市の賞金クビを300両に大幅アップ。これに食いついた用心棒が彼女の万里昌代を人質に籠城。そこに座頭市と高田美和&ヘタレ2代目が駆けつけ、さらには安部徹ヒール軍がそれを包囲するという出演者総動員状態となりました。
外から鉄砲が打ち込まれる中ヘタレ2代目が高田美和に説教されるなどカオスな籠城小屋内。
用心棒が人質・万里昌代を斬るという更なるカオスが号砲となり、怒りの座頭市はヒール軍掃討へ乗り出します。
ここからはお約束のメッタ斬り劇場。
神社の相撲大会でも見せた強靭な下半身、体幹を軸にしての攻撃は安定感抜群。川っぺりの白兵戦でも揺らぐことはありません。
もちろん安部徹と用心棒の主要ヒールは特別枠でブッタ斬り。
とくに愛しの万里昌代を斬りやがった用心棒とは真正面からロックアップした上できっちりとカタを付けました。
ちなみに用心棒は、最後の籠城は万里昌代の企てだったと虫の息で暴露。
真偽不明ではあるものの、女性不信にもなりかねないあまりに余計な辞世の句。
座頭市がこの後のシリーズで見せる対女性のストイックさは、このヘボ用心棒を起点としているのでしょうか。
生き残った面々で迎えたグッドエンディング。
村瀬幸子と「母子」の契りを交わした座頭市は、いつものルーチンで次の宿場へと旅立って行きました。
ちなみにヘタレ2代目は肩書上もベビーターン、高田美和とうまい事やっていくようです。
TV版など後期(末期)から見ていた私としては、初めて見る昭和30年代の座頭市。映像もストーリーもカラッと明るい印象でした。
おにぎりドカ食いの定番ムーブがこの頃からあったことにも感心。
今後もHDDに録り貯めたものをランダムに拾って見ていこうと思います。