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2014/05/11

プロレスクラシック(59) 鶴田最大のチャンス!初の世界奪取なるか?

録画した日〔2013/10/7:日テレG+〕

昭和58年「グランドチャンピオンカーニバルPart2」から充実の3試合。
6.8蔵前決戦ではジャンボ鶴田が自身通算14度目のNWA世界王座戦に挑みました。
万年「時は来た」状態の善戦マンの前に立ちはだかるのは”NatureBoy”の縫い取りがまぶしい狂乱の貴公子・リックフレアー。
まる1年前のS57.6.8蔵前ではダブルピンフォールの痛み分け。実力伯仲の日米同世代ライバル対決です。
戴冠から1年9ヶ月が経過した第62代NWA王者。
いろいろお客さんにイジられながら、インチキ東スポ山田さん言うところの「フレアーの味方は1人もいない」蔵前のリングへ向かいます。
なお痛々しいオデコの絆創膏は、来日直前のケリーフォンエリック戦で負った10cmの裂傷との事でした。
試合のレギュレーションはNWAルールの60分3本勝負。もはやこの時点で様式美と言えるでしょう。
何かとウマの合う両雄はさっそく命乞い(懇願)vsオー(激怒)の定番ムーブを展開。荒ぶってるんだけど何だかホッとする世界最高峰の戦いを展開します。
1本目はチャレンジャーの鶴田がゲット。ルーテーズ直伝のへそ投げバックドロップが爆発しました。
この時点で実況席(倉持アナ、山田さん)は獲ったも同然の大興奮なんですが、言うまでもなくこの辺りまでがNWA様式美の範疇。
ここから先はお待ちかねノラリクラリのネイチャーボーイ劇場(withジョー樋口)の幕開けです。
鶴田の大攻勢でケリーにやられたおでこが再びパックリ割れてしまったフレアー。
形勢逆転を図るべくコーナーポスト最上段からの猛爆を仕掛けるのですが、ここは鶴田がルーチンどおり秒速で捕獲。最高峰NWA戦の所作に則りビターンとマットに叩き付けました。
そんな美獣レイス伝承のトップロープ芸の他、前のめりバタンキューやコーナー無理くり逆さ吊りといったネイチオリジナルムーブを披露する世界王者。
しかし蔵前のリアクションはザワザワと微妙なもの。
生真面目な日本のプロレスファンがこのフレアー経典を理解するのは、年号が変わった新時代平成以降となります。
試合はフレアーのノラリクラリがいい意味で作用して60分ドロー決着。
失神KOからの業務放棄がデフォルト設定のジョー樋口もこの日はなぜか平穏無事。両雄とともにフルタイム完走を果たしNWA公認レフェリーの面目を保ちました。
またまたダメだった全日エース・ジャンボ。
翌年2月にAWA世界王座を奪取しますが、最高権威「NWA」には結局のところ生涯辿り着くことができませんでした。
なお薄氷防衛を果たしたフレアーは、この日本遠征帰国直後1983.6.10に美獣・ハーリーレイスから「最初の」王座陥落劇を食らわされる事となります。

NWA挑戦2週前の天竜市立総合体育館。ジャンボはブルーザーブロディのインターナショナル王座に挑戦していました。
力道山から受け継がれ日本の至宝と謳われるインターナショナルヘビーですが、この時点で1年以上防衛を積み重ねている超獣からすれば確固たるマイベルト。
全日期待のトップコンデンターを悠然と迎撃します。
試合は終盤、テリーゴディの下位互換的な見た目のビルアーウィンが乱入。
これを受けたジャンボサイドは、なんと御大馬場さん乱入という異例のVIPリアクションを敢行します。
ただし馬場さんはいかにもカラむ気なしの「上がり」系スラックス姿。孤軍奮闘、我を忘れたジャンボが不覚にも暴走反則負けを喫してしまいました。
リングサイドの日テレ松永アナによると、無情のアウェー判定を下したジョー樋口は「再三私は注意を与えたけれども…」と意味不明の供述をしていた模樣。
いろいろあるけど腐っても世界の権威・NWA公認レフェリー。ジャンボには適当に猛省を促したいところです。

ジャンボが世界最高峰に挑戦した6.8蔵前。馬場さんは虎の子・PWFヘビーの防衛戦に挑みました。
対戦相手はインター王者・ブロディ。
しかしなぜかダブルタイトルマッチという事にはならず、馬場さんにとっては果てしなくリスキーな大一番となりました。
当時45歳、晩年に差し掛かった馬場さんですが絶頂期のブロディ相手にジャイアントなムーブを連発。
大型レスラーをリスペクトするという共通項をもつ2人。絶妙な間合いとテンポでお互いのストロングポイントを引き出す名勝負を展開します。
両雄のダイナミックな攻防に脆弱性レフェリー・ジョー樋口もアクセル全開。
例によって全く意味のないポジショニングを取った末、超ヘビー級のキングコングとタイミングばっちりのごっつんこです。
その後若手に介抱されヨロヨロ復活。何だか辛そうな顔しながら両者反則で手際よくサクッとセミファイナルをまとめました。

この6.8の6日前には猪木舌出し失神KOの第1回IWGP優勝戦が開催されていた蔵前国技館。
その大激動シッチャカメッチャカを受けての興行ではあったものの、馬場さん率いる全日はいつもどおりNWA幻想全開の安心のクオリティをファンに提供しました。
これぞ王道プロレスの逞しさと本懐。歳を取ってから気付く事は実に多いものです。